労働保険年度更新「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」

継続事業(建設業や立木伐採業などを除く一般的な事業)の労働保険年度更新の際に必ず作成しなければならない「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表(以下「賃金集計表」と呼びます)」の作成方法について解説します。

労働保険料の計算

労働保険料は以下の通り算出します。
労災保険料=労働者の賃金総額×労災保険料率
雇用保険料=雇用保険の被保険者である労働者の賃金総額×雇用保険料率

全労働者が雇用保険の被保険者である場合には、以下の通りです。
労働保険料(労災保険料+雇用保険料)=労働者の賃金総額×(労災保険料率+雇用保険料率)

一般拠出金は労災保険料と同様の計算方法で、以下の通りです。
一般拠出金=労働者の賃金総額×一般拠出金率

賃金集計表とは

年度更新の申告書では上記の計算式により、労働保険料(前年度の確定保険料と当年度の概算保険料)、一般拠出金の金額を計算しますが、この計算に用いる「賃金総額」を算出するための集計表が「賃金集計表」です。
賃金集計表により算出した「賃金総額」を年度更新の申告書に転記し、労働保険料と一般拠出金を計算します。

賃金集計表は年度更新の申告書とともに同封されているほか、厚生労働省ウェブサイト「主要様式ダウンロードコーナー(労働保険適用・徴収関係主要様式)」からダウンロードすることもできます。

賃金集計表の集計・計算結果は申告書の所定の欄に転記します。賃金集計表自体は年度更新の申告時には提出せず、申告書(事業主控)とともに、保管しておきます。

賃金集計表の作成

賃金集計表は
①労災保険料・一般拠出金の算出に用いる賃金総額の算出
②雇用保険料の算出に用いる賃金総額の算出
の手順で作成します。

労災保険料・一般拠出金算出のための賃金総額

賃金集計表の区分に従い、3つに分けて賃金総額を集計し、それらの合計額を算出します。

常用労働者

正社員などの常用労働者だけではなく、パート・アルバイトなどの臨時労働者で雇用保険の被保険者)、日雇労働者の数(※)と、支払った賃金総額を月別に集計します。
※労働者数は各月の賃金締切日の労働者数を記入します。

役員で労働者扱いの人

役員であっても法令や定款に基づき、業務執行権や代表権を持っておらず、業務執行権を持っている役員の指揮命令により働き、賃金を得ている人(使用人兼務役員など)の数と、支払った賃金総額を月別に集計します。
なお、賃金総額には役員報酬として支払った金額を含みません。

臨時労働者

上記以外の全ての労働者(パート・アルバイトなどの臨時労働者で雇用保険の被保険者でない労働者)の数と、支払った賃金総額を月別に集計します。

雇用保険料算出のための賃金総額

常用労働者、パート・アルバイトで雇用保険の資格のある人

記載の通りです。日雇労働被保険者も含みます。月別の人数と賃金総額を集計します。
週所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みがある場合は雇用保険の被保険者となります。
※季節的に雇用される者(雇用期間が4か月以内または週所定労働時間30時間未満の場合を除く)と昼間課程に通う学生を除く。

役員で雇用保険の資格のある人

代表取締役は被保険者とはなりません。いわゆる使用人兼務役員(勤務形態や賃金報酬面で労働者的な性格が強い者:ハローワークの審査が必要)は被保険者となるため、その人数と役員報酬を除く賃金総額を集計します。

賞与の総額

各月の賃金総額とは別に、賞与総額についても支給月別に集計し、記入します。
労働保険料の算出に用いる賃金総額には賞与の額も含むためです。

「常用使用労働者数」「雇用保険被保険者数」の算出

申告書に記入する「常用使用労働者数」「雇用保険被保険者」を算出します。
いずれも、各月の人数合計÷12(小数点以下切り捨て)で算出します。なお、雇用保険被保険者数については、切り捨ての結果「0人」の場合は「1人」とします。
算出結果は申告書の所定の欄に記入します。

賃金総額の合計額の算出

労災保険料、雇用保険料、一般拠出金のそれぞれについて、各月の賃金総額の合計額+賞与額の合計額を算出し、千円未満を切り捨てます。この金額が労働保険料と一般拠出金の算出に用いる賃金総額にあたり、それぞれを申告書の所定の欄に記入する必要があります。

賃金集計表は年度更新の申告にあたって、労働保険料や一般拠出金を算出するために大変重要です。
厚生労働省ウェブサイトには「年度更新申告書計算支援ツール(Excel)」も準備されていますので、適宜活用しつつ、本記事の基本情報も参考にしながら遺漏のないように賃金集計表を作成しましょう。



賃金総額の集計にあたっては、「賃金」として集計すべきもの、対象者などに関して判断が難しい規定もあります。そのような場合には専門家である社会保険労務士への相談をお勧めします。
弊所でも臨時労働保険指導員としての経験を活かしつつ、精一杯お手伝いさせて頂きますので、ぜひご相談ください。

投稿者プロフィール

安森 将
安森 将やすもり社会保険労務士事務所 代表
開業社会保険労務士として、経営者と従業員が「共に輝く」企業づくりに向け、様々なアドバイスを行うほか、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)専門家、臨時労働保険指導員にも従事しています。
また、開業前の25年間はJR東海で勤務。人事はもちろん、営業戦略や新幹線予約システム開発を経験した知見を活かした助言に心がけています。

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