労働保険年度更新に向けて

今年も6/1より労働保険の年度更新が始まります。
昨年度に引き続き、今年度も臨時労働保険指導員に委嘱される予定で、年度更新に訪れる皆様の申告書の受付や、様々な指導に従事します。
このコラムでは、労働保険の年度更新の準備に必要な基礎知識を解説しますので、ぜひご活用ください。

労働保険料とは

労働保険料とは労災保険料と雇用保険料の総称です。従業員を雇用する企業の事業主が納付します。このうち、雇用保険料は雇用保険の加入要件を満たす従業員がいる場合に納付します。労災保険料は事業主が全額負担、雇用保険料は事業主、従業員それぞれが負担します。(負担割合はあらかじめ決められています。)
また、年度更新の際には、労働保険料とは別に一般拠出金を申告・納付します。一般拠出金とは「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づき、石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用に充てられるものです。

労働保険の年度更新とは

労働保険の年度更新とは、労働保険料の「概算保険料(新年度分)」「確定保険料(前年度分)」と、「一般拠出金」を計算した上で申告・納付することです。
前年度の確定保険料を計算した上で、前年度の年度更新で納付した概算保険料との差額を精算し、差額がプラスの場合には納付します。前年度の一般拠出金と新年度の概算保険料は申告額を納付します。

期限までに申告・納付を完了しない場合には、政府が労働保険料を決定し、追徴金(労働保険料・一般拠出金の額の10%)が課される場合があります。

期間

6/1~7/10

申告方法

都道府県労働局・労働基準監督署の窓口での受付のほか、郵送や電子申請も可能。

令和7年度(前年度)からの変更点

  • 電子申請が義務づけられている法人の事業場への申告書(紙)の送付がなくなったこと
    今年から電子申請が義務付けられている法人(※)の事業場には紙の申告書は送付されず、代わりに必要な情報を記載した通知書等が送付されます。内容は以下の通りです。
    ・納付書(領収済通知書)
    →電子納付を行わずに保険料を納付する場合に利用可能
    ・労働保険 概算・増加概算・確定保険料申告 電子申請情報通知書
    →労働保険番号、アクセスコード等、電子申請に必要な情報を記載
    ・労災保険率決定通知書(メリット制適用事業場のみ)
    ・電子申請の方法等案内リーフレット

    ※電子申請が義務付けられている法人
    ・資本金など1億円超の法人
    ・相互会社
    ・投資法人
    ・特定目的会社
  • 雇用保険料率の変更
    雇用保険料率は各事業ともに、1.0/1000引き下げ。(事業主、労働者それぞれで0.5/1000引き下げ)
    ※労災保険料率、一般拠出金率は変更なし。

継続事業と有期事業・一括有期事業

継続事業とは期間が限定されない一般的な事業のことで、有期事業以外の事業が該当します。一方、有期事業とは一定の期間に限定されている事業(建設事業や立木伐採の事業など)のことです。

継続事業は毎年度事業が継続するため、年度ごとに労働保険の年度更新手続きが必要ですが、有期事業については事業開始時に概算保険料を、終了時に確定保険料を納付するため、年度更新を行いません。

ただし一定の要件を満たす小規模な有期事業については、労働保険料の申告・納付を「一括」して取り扱うことになり、これらを一括有期事業と呼びます。一括有期事業については継続事業と同様に年度更新手続きが発生します。

なお、一括有期事業のうち、建設業の年度更新では、以下の3種類に分けて申告する必要があるため、注意が必要です。

・(建設)現場部門の労災保険料
・事務所部門(建設現場以外)の労災保険料
・雇用保険料

メリットのある口座振替納付

労働保険の年度更新では、労働保険料や一般拠出金の納付に口座振替を利用できます。
口座振替のメリットは、納期限が通常よりも遅くなることです。
一括納付(全期分)および第1期分では約2か月、第2期分以降ではそれぞれ2週間遅くなります。

口座振替は事前申請が必要で、申請期限は以下の通りです。
全期一括・第1期分:今年度分は申込不可。来年度分の申請が可能。(4月時点)
今年度分の年度更新では、納付書またはペイジーなどによる納付が必要です。このタイミングで来年度開始の申請を行えば、来年度の年度更新時は口座振替が利用できるため、口座振替を利用する場合は忘れずに申請しておくとよいでしょう。
第2期分:8/14
第3期分:10/11
第2期以降分については、延納(分割納付)が可能な場合に限ります。(延納の要件を満たす必要あり)

申請方法は以下の通りです。
①労働局または労働基準監督署窓口で申込用紙を受取、または厚生労働省ウェブサイトでダウンロード
②記入済みの申込用紙を金融機関の窓口に提出
※インターネット専業銀行(2026年4月現在、GMOあおぞらネット銀行のみ)の申し込みについては、厚生労働省ウェブサイトより申込用紙をダウンロードし、厚生労働省労働基準局労働保険徴収課へメール又は郵送で提出する必要があります。

まとめ

今回は労働保険料や一般拠出金や、年度更新の定義および昨年度からの変更点、口座振替の申請方法など、年度更新の事前準備にあたる内容を中心に解説しました。
次回は、労働保険年度更新の方法のうち、確定保険料や概算保険料、一般拠出金の計算方法について解説します。

参考

労働保険年度更新に係るお知らせ |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/hokenryou/index.html

投稿者プロフィール

安森 将
安森 将やすもり社会保険労務士事務所 代表
開業社会保険労務士として、経営者と従業員が「共に輝く」企業づくりに向け、様々なアドバイスを行うほか、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)専門家、臨時労働保険指導員にも従事しています。
また、開業前の25年間はJR東海で勤務。人事はもちろん、営業戦略や新幹線予約システム開発を経験した知見を活かした助言に心がけています。

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