社会保険「130万円の壁」取扱い変更に向けてパートやアルバイトの方の入社時に注意すること
引き続き、社会保険「130万円の壁」の取扱い変更についてです。
2026年4月1日認定分より、健康保険や厚生年金保険に加入する会社員などに扶養される配偶者や子など(被扶養者)を保険者(協会けんぽや健康保険組合)が認定する際の取扱いが変わります。
一般的な収入要件である「年収130万円未満」の基準自体は変わりませんが、「年収」に関する定義が変わります。
その内容は
「労働契約に定められた賃金から見込まれる年収」が130万円未満であること
となります。
上記の「賃金」は労働基準法第11条に規定される賃金とされています。労働基準法第11条では、
「労働の対償として支払うすべてのもの」
と定められていますので、実費として支給されるもの(旅費など)や見舞金などは含まれませんが、それ以外に支給されるものは全て含まれます。賞与(ボーナス)も例外ではありません。
「労働契約に定められた」という点が次のポイントですが、この点については「労働条件通知書」等の労働契約の内容が分かる書類により判断するとされています。
労働条件通知書には「労働時間」や「賃金」に関する労働条件を必ず記載して労働者に交付する必要があり、その規定内容に基づき各労働者に支払われる賃金の額を計算して、「130万円以上か否か」を判断する、ということになります。
具体的には労働条件通知書に規定される時給、労働時間、労働日数等に基づき算出した年収の見込み額が130万円未満であることを判断するとされています。
「残業(時間外・休日)手当」は当然「賃金」に含まれますが、パートやアルバイトの方の場合、入社時の労働条件通知書交付の際に残業が確実に発生するかは分からない場合が多いのではないでしょうか。
労働条件通知書では「所定時間外労働の有無」は必ず定める必要があります。ただ規定すべきなのはあくまで「発生の有無」であるため、そのような場合は
「所定時間外労働を行わせることがある」
といった形で定めても、「所定時間外労働の有無」を定めていると言えるため、問題がないと考えられます。
上記のように定めることで、労働条件通知書により被扶養者認定を行う場合には、残業(時間外・休日)手当を含めずに認定することになるとされています。
また、労働条件通知書交付時点(入社時など)では残業の発生が見込まれていなかったものの、その後結婚などにより被扶養者認定の手続きが必要になった際に残業が発生している場合も、その年度については「一時的な収入変動」とみなし、労働条件通知書の規定内容で被扶養者認定を行うかどうかを判断するとされています。
なお、労働契約に定められた賃金から見込まれる年収(労働条件通知書等の内容)で被扶養者認定を判断する場合は、以下の書類の提出が必要です。
・労働条件通知書等労働契約の内容が分かる資料
・認定対象者(従業員)による「給与収入のみである」旨の申立書
この取扱いは認定対象者の収入がパート等の給与収入のみである場合に限定される取扱いであることに注意が必要です。
パート等以外の収入(年金や事業収入など)がある場合については、「130万円未満」の要件は従来通りの判断方法になり、課税(非課税)証明書や収入証明書により判断することになります。
また、被扶養者認定の翌年度以降の「被扶養者認定の確認」の際にも上記と同様の取扱いとなります。
以上のように健康保険の被扶養者認定の取扱いが2026年4月以降変更されます。労働条件通知書の内容等、注意すべきこともありますので、早めの準備が求められます。
※参考:厚生労働省Q&A https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T251006S0070.pdf


