令和7年度最低賃金確定と「106万円の壁」撤廃

令和7年度最低賃金が全都道府県で1,016円を超えることになりました。
前回の投稿でお知らせしたように、時給1,016円を超える賃金が支給されることで、パート・アルバイトなど短時間労働者の社会保険の加入要件のうち「月収88,000円以上」の要件をクリアします。
したがって、この要件自体が来春にも撤廃されるのではないか、とも報じられています。

現在の短時間労働者の社会保険加入要件は以下の通りですが、今後③の要件が撤廃されるということです。
①従業員51人以上の企業(法人)で働いていること
②週20時間以上働いていること
③月収88,000円以上であること

③の要件がいわゆる「106万円の壁」です。これまで、この「壁」による働き控えが問題になっていましたが、撤廃されることにより次は②の「週20時間以上」が意識されるかもしれません。
しかしながら、現実には業務量と要員の兼ね合いから「週20時間以上」の労働時間の壁を越えないように調整することは難しいと考えられます。
従業員の「働きがい」を維持して大切な人材を確保するためには、賃金、社会保険料双方の原資を確保しつつ、効率的に業務を進められるように改善に向かわざるを得ないのではないでしょうか。
この場合に助成金などの助けを得ることも検討しなければなりません。

また、忘れてはならないのは月給制の従業員の処遇です。時給制の従業員は最低賃金額を意識しやすいですが、月給制の従業員の給与の点検や見直しも同時に実施する必要があるのは言うまでもありません。固定残業代制度を取っている場合は、基本給部分の最低賃金クリアについても確認が必要です。

就業規則や賃金規程(制度)の見直し、助成金申請の検討、社会保険加入手続きなど、様々な検討や手続きを正しく進めることが求められます。
難しいようであれば社会保険労務士などの専門家の力を借りることもご検討ください。

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